この記事の結論
- 遺骨を別のお墓や納骨堂へ移す墓じまいには、今のお墓がある市区町村の「改葬許可」が必要です。
- 必要書類の基本は「改葬許可申請書」「埋蔵証明」「改葬先の受入証明」の3点で、名義人以外が申請するときは承諾書も加わります。
- 全体の期間は、親族の話し合いから納骨まで数か月が目安です。最初に「親族の合意」と「改葬先」を決めると、その後の手続きが進めやすくなります。
お墓の場所・ご遺骨の数・改葬先の希望を伺えば、必要な手続きと費用の目安をお伝えできます。まずは30分の無料相談(事務所・ご自宅訪問・オンライン・お電話)をご利用ください。遠方のお墓も郵送で対応します。
墓じまいの手続きとは|「改葬」との関係
「墓じまい」は法律用語ではなく、お墓を片付けて墓地を管理者に返すことを指す言葉です。一方、法律で手続きが決まっているのは「改葬」です。
墓地、埋葬等に関する法律(墓地埋葬法)では、お墓に納めた焼骨を他のお墓や納骨堂に移すことを「改葬」と定めています(2条3項)。改葬をするには、市町村長(東京23区では区長)の許可を受けなければなりません(5条1項)。許可を出すのは、遺骨が今ある場所の市区町村です(5条2項)。引っ越し先や、申請する方の住所地ではない点に注意してください。
なお、取り出した遺骨を自宅で保管したり散骨したりする場合は、改葬許可は不要とされています(総務省東北管区行政評価局の資料)。ただし、墓地の管理者が遺骨の取り出しに許可証の提示を求めることもあるため、事前に墓地と市区町村に確認しておくと安心です。
改葬件数は、令和6年度に約17.6万件と、平成26年度(約8.4万件)の約2倍に増えています(厚生労働省「衛生行政報告例」、総務省資料より)。決して珍しい手続きではありません。
墓じまいの流れ|7ステップ
順番が前後すると、書類の取り直しや日程の組み直しが起きやすくなります。おおむね次の流れで進めます。
ステップ1:親族で話し合う
お墓は、名義人(墓地使用者)だけでなく、兄弟姉妹や親戚にとっても大切な場所です。後から「聞いていない」と言われないよう、墓じまいをする理由、遺骨の移し先、費用の分担を早めに共有しましょう。遠方に住む親族には、経緯を書いた手紙を送っておくと話が伝わりやすくなります。
ステップ2:改葬先(新しい納骨先)を決める
一般墓、納骨堂、樹木葬、合葬墓など、移し先を決めます。改葬許可の申請には改葬先が決まっていることを示す書類(受入証明書や使用許可証の写しなど)が求められるのが一般的です。契約したら、受入証明の書類を発行してもらいましょう。
ステップ3:今の墓地の管理者に相談し、埋蔵証明をもらう
寺院墓地ならご住職、公営墓地なら自治体や管理事務所、民営霊園なら管理事務所が窓口です。墓じまいの意向を伝え、「誰の遺骨が埋蔵されているか」を証明する埋蔵証明をお願いします。多くの自治体では、改葬許可申請書の中に管理者が証明する欄があります。
寺院墓地の場合は、これまでのお礼を伝える場にもなります。閉眼供養(魂抜き)の有無や日程も、このときに相談しておきましょう。作法は宗派や寺院により異なります。
ステップ4:石材店に墓石撤去の見積もりを取る
墓石の解体・撤去と区画の原状回復は、石材店が行う工事です。寺院や霊園によっては工事できる石材店が決まっている(指定石材店)ことがあるので、確認してから見積もりを依頼します。指定がなければ、複数社の見積もりを比べると費用の妥当性が判断しやすくなります。
ステップ5:市区町村に改葬許可を申請する
書類がそろったら、今のお墓がある市区町村の担当窓口(戸籍や区民課などが多い)に申請します。横浜市では、お墓がある区の区役所戸籍課に必要書類を持参して申請し、改葬許可証を受け取ります。相模原市は、交付まで数日〜1週間程度かかるとして、余裕を持った申請を呼びかけています。
郵送での申請も、横浜市・相模原市(遠方の方)・大田区・練馬区などが公式サイトで受け付けると案内しています。手数料は自治体により異なり、横浜市では改葬許可証は無料とされています。
ステップ6:閉眼供養・遺骨の取り出し・墓石撤去
改葬許可証を受け取ったら、閉眼供養を行い、遺骨を取り出します。横浜市は、遺骨の取り出し時に今の墓地の管理者へ許可証を提示する(渡さない)よう案内しています。その後、石材店が墓石を撤去し、区画を更地に戻します。
ステップ7:新しい納骨先に納め、墓地を返還する
新しい納骨先の管理者に改葬許可証を提出して納骨します。墓地の管理者は、改葬許可証を受け取った後でなければ遺骨の埋蔵をさせてはならないと法律で決まっています(14条)。公営墓地では、別途「返還届」などの提出が必要な場合があります。
改葬許可の必要書類
法律の施行規則2条と、自治体の案内をもとに整理すると次のとおりです。
| 書類 | 内容 | 入手先 |
|---|---|---|
| 改葬許可申請書 | 故人の本籍・住所・氏名、死亡年月日、埋葬場所、改葬の理由・場所、申請者の情報など | 今のお墓がある市区町村(多くは公式サイトから印刷可) |
| 埋蔵(収蔵)証明 | 遺骨が今の墓地に納められていることを管理者が証明するもの | 今の墓地の管理者(申請書の欄に記入してもらう形式が多い) |
| 受入証明 | 改葬先が決まっていることを示す書類(受入証明書、使用許可証の写しなど) | 新しい納骨先 |
| 承諾書 | 申請者が墓地使用者(名義人)でない場合に、名義人が改葬を承諾する書面 | 名義人に記入してもらう |
このほか、市区町村長が特に必要と認める書類を求められることがあります(施行規則2条2項3号)。横浜市は、申請者と墓地使用者が違う場合に承諾書のほか委任状でもよいとし、名義人の確認のため墓地使用許可書などを求める場合があるとしています。
遺骨が複数ある場合の扱いも自治体で違います。大田区や世田谷区は遺骨1体につき申請書1通、横浜市・相模原市は継続用紙、練馬区は死亡者の内訳書を添える形です。事前に申請先の案内を確認しましょう。書き方の詳細は「改葬許可申請書の書き方と提出先」で解説しています。
墓じまいにかかる期間の目安
状況によって大きく変わりますが、一般的な目安は次のとおりです。
| 段階 | 期間の目安 | 時間がかかりやすい理由 |
|---|---|---|
| 親族の話し合い・改葬先選び | 1〜3か月 | 合意形成、見学、契約 |
| 埋蔵証明・見積もり・書類の準備 | 2週間〜1か月 | 寺院・石材店との日程調整、郵送のやりとり |
| 改葬許可の申請〜交付 | 当日〜数週間 | 窓口なら即日の自治体もある。郵送は往復の日数がかかる |
| 閉眼供養・撤去工事・納骨 | 1〜2か月 | 寺院・石材店・納骨先の日程、天候 |
合計で3〜6か月ほどを見込んでおくと、お盆やお彼岸などの繁忙期とも重なりにくく、余裕を持って進められます。
費用の目安
墓じまい全体の費用は、30万〜100万円程度が一般的とされています。内訳の目安は、墓石撤去が1㎡あたり10万〜15万円程度、閉眼供養のお布施が3万〜10万円程度です(いずれも業者・士業の解説による目安で、地域や立地により大きく変わります)。これに新しい納骨先の費用が加わります。
離檀料については、法律上の支払義務はありません。詳しくは「離檀料は払う必要がある?」をご覧ください。
ご本人がやること・行政書士に頼めること
行政書士は、官公署に提出する書類(改葬許可申請書など)の作成と提出の代理、事実を証明する書類の作成ができる国家資格者です。一方、墓石の撤去工事は石材店、供養は寺院の領分です。
| やること | ご本人・ご家族 | 行政書士に頼めること |
|---|---|---|
| 親族の話し合い | 方針を決める | 親族への説明文の作成 |
| 改葬先選び | 見学・契約 | 候補の比較表づくり |
| 墓地管理者への連絡 | 意向を伝える、供養の相談 | お知らせ文の作成、埋蔵証明の依頼書類の準備 |
| 改葬許可申請 | 委任状への署名 | 申請書・承諾書の作成、提出、許可証の受け取り |
| 墓石撤去 | 石材店と契約 | 相見積もりの取りまとめ |
| 閉眼供養・納骨 | 参列 | 全体の日程表づくり |
なお、離檀料の交渉や寺院との争いの代理は、行政書士にはできません(弁護士法72条)。争いになった場合は弁護士へのご相談をおすすめします。
つまずきやすいポイント
- 申請先の勘違い:申請先は「今のお墓がある市区町村」です。お住まいの市区町村ではありません。
- 埋蔵証明がもらえない:寺院が証明に応じない、管理者がいない場合でも、代わりの書面で申請できる場合があります。「埋蔵証明書がもらえないとき」で解説しています。
- 名義人が亡くなっている:墓地使用権の承継手続きが先に必要になることがあります。墓地の管理者に確認しましょう。
- 遺骨の数がわからない:古いお墓では、開けてみると想定より多いこともあります。墓誌や過去帳で事前に確認しておくと安心です。
よくある質問
Q1. 墓じまいの手続きは自分でもできますか? できます。改葬許可申請は、書類がそろえばご本人でも十分に可能です。平日に役所や遠方の墓地とやりとりする時間がとれない場合に、行政書士へ依頼する方が多くいます。
Q2. 遠方のお墓でも、現地に行かずに手続きできますか? 改葬許可の申請は、郵送を受け付けている自治体が多くあります(横浜市、相模原市、大田区、練馬区など)。ただし遺骨の取り出しや閉眼供養には立ち会いが求められることが多いため、少なくとも1回は現地へ行く前提で計画すると安心です。
Q3. 改葬許可証の手数料はかかりますか? 自治体により異なります。横浜市では無料ですが、有料の自治体もあります。埋蔵証明の発行に墓地管理者の手数料がかかる場合もあります。
Q4. 改葬許可を取らずに遺骨を移すとどうなりますか? 改葬許可を受けずに改葬することは法律違反となり、罰則(罰金など)の対象になります(21条)。また、新しい納骨先も許可証がなければ受け入れできません。
当事務所でできること
櫻井高貴行政書士事務所では、改葬許可の書類作成から、墓じまい全体の段取りまでお手伝いしています。石材店・霊園・寺院から紹介料は受け取らず、中立な立場で進めます。
- 書類作成プラン:22,000円(申請書・委任状・承諾書を作成、提出はご本人)
- 改葬許可 代行プラン:44,000円(1墓所・遺骨2柱まで。書類の取り寄せ・提出・許可証の受け取りまで)
- 墓じまい まるごと段取りプラン:132,000円(4柱まで)(相見積もりの取りまとめ、改葬先の比較表、日程表、神奈川・東京で1回の現地同行など)
初回相談(30分。事務所・ご自宅訪問・オンライン・電話)は無料です。料金の詳細は料金表、ご相談は無料相談フォームからどうぞ。
出典
- 厚生労働省「墓地、埋葬等に関する法律」(2条3項・5条・14条・21条) https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/seikatsu-eisei15
- 厚生労働省「墓地、埋葬等に関する法律施行規則」(2条) https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/seikatsu-eisei16/index.html
- 総務省東北管区行政評価局「墓じまいに関する情報収集結果」(2026年1月30日) https://www.soumu.go.jp/main_content/001084523.pdf
- 総務省東北管区行政評価局 別添1「墓じまいに関する情報収集結果」 https://www.soumu.go.jp/main_content/001053242.pdf
- 横浜市「改葬許可申請」 https://www.city.yokohama.lg.jp/kurashi/koseki-zei-hoken/todokede/koseki-juminhyo/koseki/kaisou.html
- 大田区「改葬許可」 https://www.city.ota.tokyo.jp/seikatsu/koseki_j/koseki/todoke/kaisoukyoka.html
- 世田谷区「改葬許可証交付申請」 https://www.city.setagaya.lg.jp/02233/71.html
- 相模原市「改葬許可の申請について(よくある質問)」 https://www.city.sagamihara.kanagawa.jp/shisei/1026875/faq/koseki/1000692.html
- 練馬区「改葬許可申請」 https://www.city.nerima.tokyo.jp/kurashi/koseki/todokede/kaisou.html
- 総務省「行政書士制度」 https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/jichi_gyousei/gyouseishoshi/index.html
- ※費用の目安は業者・士業の解説記事による一般的な目安です。
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