都立霊園の墓じまい(多磨・小平・八柱・青山ほか)手続きの流れと注意点

この記事の結論

  • 都立霊園の墓じまいは「改葬許可(霊園がある区市町村に申請)」と「霊園への使用終了の届出・更地に戻す工事」の2本立てで進めます。お寺のお墓と違い、離檀料はかかりません。
  • 納めた使用料は原則として戻りません。例外として、使用許可日から3年以内に改葬・原状回復した場合などは半額が戻ると、公式の手引に書かれています。
  • 承継者がいない場合は、お墓を返して都立の合葬埋蔵施設に移す「施設変更制度」が使えます。毎年の一般公募は区分によって倍率が高く、都立霊園を使っている人は原則として申し込めない点に注意が必要です。

お墓の場所・ご遺骨の数・改葬先の希望を伺えば、必要な手続きと費用の目安をお伝えできます。まずは30分の無料相談(事務所・ご自宅訪問・オンライン・お電話)をご利用ください。遠方のお墓も郵送で対応します。

無料相談を申し込む →

目次

都立霊園の墓じまいの全体像

都立霊園は東京都が設置し、公益財団法人東京都公園協会が指定管理者として管理しています。東京都霊園条例で定められた霊園は、多磨・八柱・小平・八王子・青山・谷中・雑司ケ谷・染井の8か所です(東京都霊園条例 別表第一)。

墓じまいで必要な手続きは、大きく分けて次の2つです。

  1. 遺骨を移すための改葬許可:墓地、埋葬等に関する法律5条にもとづき、いま遺骨がある場所の市区町村長に申請します。
  2. お墓を霊園に返す手続き:使用をやめることを届け出て、墓所を更地に戻します(東京都霊園条例16条)。

改葬許可の申請先は「霊園の名前」ではなく「霊園の所在地」

ここで迷いやすいのが申請先です。霊園の名前と所在地の市区がずれていることがあります。

スクロールできます
霊園 所在地 改葬許可の申請先
多磨霊園 府中市多磨町 府中市
小平霊園 東村山市萩山町 東村山市
八王子霊園 八王子市元八王子町 八王子市
青山霊園 港区南青山 港区
谷中霊園 台東区谷中 台東区
雑司ケ谷霊園 豊島区南池袋 豊島区
染井霊園 豊島区駒込 豊島区
八柱霊園 千葉県松戸市田中新田 松戸市

小平霊園は小平市ではなく東村山市に、八柱霊園は都外の千葉県松戸市にあります。東村山市は「都立小平霊園に埋葬されている方の申請は東村山市で行う」と案内しています。府中市・東村山市・八王子市は改葬許可の手数料を無料としています。郵送で申請できるかどうかは市区によって違い、府中市・東村山市のページには郵送の記載がありません。事前に窓口へ確認してください。

手続きの流れ(都立霊園から他の墓地へ移す場合)

公園協会の「使用の手引」に書かれている流れを、墓じまい全体の順番に並べ直すと次のとおりです。

  1. 名義(使用者)を確認する:使用者が亡くなっているときは、先に承継(名義変更)の申請が要ります。
  2. 改葬先を決め、受入証明をもらう:改葬先の管理者から使用許可証の写しや受入証明書を受け取ります。
  3. 霊園の窓口で埋蔵証明を受ける:都立霊園の窓口で、埋蔵・収蔵の証明を申請します(手引では400円)。多磨霊園では、霊園が証明した改葬許可申請書を府中市に出す形になっています。
  4. 所在地の区市町村で改葬許可を申請する:2と3の書類を添えて申請し、改葬許可証を受け取ります。
  5. 石材店と工事の届出をして、遺骨を取り出す:霊園窓口で改葬許可証を見せてから遺骨を引き取ります。閉眼供養などをするかどうかは、宗派やご家族の考えによります。
  6. 墓石を撤去して更地に戻し、使用終了を届け出る:「埋蔵施設使用終了届」を出し、使用許可証を返します。
  7. 改葬先に改葬許可証を出して納骨する。

手引には、遺骨を全部移す場合は墓所の返還になること、市区町村によって手続きが違う場合があることも書かれています。

返還(使用終了)の届出と原状回復

届出に必要なもの

公式の手引に挙がっているのは、次の4点です。

  • 使用者の実印
  • 印鑑登録証明書(発行から3か月以内)
  • 都立霊園使用許可証
  • 埋蔵施設使用終了届(窓口に備え付け)

どこまで撤去するか

手引では、お墓をやめるときは使用者の負担で、最初に貸したときの状態(更地)に戻すことになっています。撤去の範囲は施設の種類で変わります。

施設 撤去するもの(手引の記載)
一般墓所 墓石・カロート・囲障の撤去、地固め・整地、樹木の伐採・抜根
芝生墓所 墓石(台石・線香立て・花立てを含む)
壁型墓所 家名板・線香立て・花立て
みたま堂 家名板

工事は石材店に頼みます。都立霊園には、一般の墓所で工事の前に「工事施行届」などを出すルールがあります。お彼岸・お盆・土日祝日の工事は控えるよう求められているので、日程に余裕をみておきましょう。撤去費用は面積や立地で大きく変わります。墓石の撤去は1㎡あたり10万〜15万円程度という解説が多い一方、首都圏ではそれより安い見積もりもあります(いずれも業者の解説による目安)。複数の石材店に見積もりを頼むと比べやすくなります。

納めた使用料は戻る?

東京都霊園条例15条は、すでに納めた使用料と管理料は原則として還付しないと定めています。ただし、知事が相当の理由を認めたときは、全部または一部を戻せるとしています。

公園協会の「使用の手引」では、次の場合に使用料の半額が戻るとしています。

  • 使用許可日から3年以内に改葬・原状回復した場合
  • 一度も使わずに返した場合

分納中なら、納めた額のうち使用料の半額を超える分が戻ります。

何十年も前から使っているお墓は、この3年の条件に当てはまらないので、多くの墓じまいでは使用料は戻らないと考えておくのが現実的です。年間管理料についても、手引には還付の記載がありません。

名義人が亡くなっている場合(承継の申請)

墓じまいの書類は、原則として使用者(名義人)の名前で進めます。名義人が亡くなっているときは、先に承継の申請をします。手引では、主に次の書類を出します。

  • 申請者の実印と印鑑登録証明書
  • 戸籍謄本と、戸籍のつながりがわかる書類
  • 使用許可証
  • 承継使用申請書・誓約書

手数料は2,000円です。公園協会のよくある質問では、申請から名義変更の完了まで約2か月かかるとされています。承継の申請はどの都立霊園の窓口でも受け付けますが、納骨・工事・返還・施設変更は使っている霊園でしか手続きできません。

管理料を5年間納めないと、条例上は使用許可を取り消されることがあります(条例21条)。名義人が亡くなって管理料が止まっている場合は、早めに名義を整理しましょう。

都立霊園の受け皿へ移す方法

承継者がいないなら「施設変更制度」

都立霊園を使っていて承継者がいない人は、お墓を返して、遺骨を都立の合葬式墓地に移す「施設変更制度」を使えます。公式の案内のポイントは次のとおりです。

  • 移す先:合葬式墓地(小平霊園・八柱霊園。実施の有無・受入霊園・受付期間は年度によって違う)
  • 移した後は、使用料・年間管理料がかからない
  • いまの遺骨に加えて、名義人本人と配偶者(事実婚を含む)、または東京都パートナーシップ宣誓制度のパートナーも納骨できる
  • いまのお墓を更地にする費用は、使用者の負担
  • 毎年4月以降に、使っている霊園へ問い合わせる(よくある質問では「募集は年3回」)

毎年の一般公募(令和8年度の例)

都立霊園は年1回、使用者を募集します。令和8年度の申込期間は2026年6月12日〜7月3日、抽選は8月14日でした。合葬・樹林墓地の例は次のとおりです。

スクロールできます
霊園・施設 使用料(遺骨1体) 倍率
小平 合葬(直接共同埋蔵) 58,000円 19.4倍
多磨 合葬(20年後に共同埋蔵) 61,000円 8.6倍
八柱 合葬 53,000円・131,000円 1.4倍
多磨 樹林墓地 95,000円(粉状は31,000円) 2.5倍
雑司ケ谷 樹林墓地 112,000円(粉状は37,000円) 6.6倍

注意したい点が3つあります。

  • いま都立霊園を使っている人は、原則として申し込めません。都立から都立に移すなら、施設変更制度を先に検討します。
  • 合葬・樹林墓地の申込みには、都内に3年以上住んでいること(八柱の合葬は松戸市民も可)と、祭祀の主宰者であることが求められます。
  • 小平霊園と八王子霊園の一般埋蔵施設など一部の区分は、改葬する遺骨では申し込めません(区分は募集案内で確認してください)。

「都立霊園の樹木葬」について

いわゆる樹木葬にあたるのが、樹林型(樹林墓地:多磨・雑司ケ谷・小平)と樹木型(樹木墓地:小平)です。樹木墓地は、納骨袋に入れた遺骨を樹木のまわりに1体ずつ埋める方式です。手引には次のように書かれています。

  • 名前を刻むことはできない
  • 一度埋めた遺骨は返してもらえない
  • 生前の申込みはできない

令和8年度の募集表には、樹木墓地は載っていませんでした。合葬墓や樹林墓地も、いったん共同で埋めると遺骨を取り出せません。家族でよく話し合ってから決めましょう。

よくある質問

Q. 都立霊園の墓じまいで、離檀料はかかりますか? A. 都立霊園は公営墓地で、寺院の檀家制度とは関係がないため、離檀料はかかりません。主にかかるのは撤去工事費、証明書の手数料、改葬先の費用です。

Q. 八柱霊園は東京都の霊園ですが、改葬許可はどこに出しますか? A. 八柱霊園は千葉県松戸市にあるので、松戸市(市民課)に申請します。郵送で出せるかどうかは、市に確認してください。

Q. 遺骨の一部だけ移して、お墓は残せますか? A. 一部の遺骨だけを改葬することもできます。全部を移す場合は返還(使用終了)の手続きになります。

Q. 公募に落ちたら、取り出した遺骨はどうすればよいですか? A. 取り出す前に改葬先を決めるのが基本です。一般公募は抽選なので、当選してから取り出しの日程を組むか、民間や他の公営墓地の受け皿も並べて検討します。

当事務所でできること

櫻井高貴行政書士事務所では、次のお手伝いをしています。

  • 都立霊園の墓じまいで、所在地の区市町村に出す改葬許可申請の書類作成・提出代行(改葬許可 代行プラン 44,000円、1墓所・遺骨2柱まで)
  • 霊園への返還届(オプション 11,000円)
  • 石材店3社の相見積もりの取りまとめを含む「まるごと段取りプラン」(132,000円・4柱まで)

石材店・霊園から紹介料は受け取りません。撤去工事は石材店が行います。料金の詳細は料金表をご覧ください。ご相談は無料相談フォームから受け付けています(初回30分無料)。

出典

  • 東京都霊園条例(東京都例規集)https://www.reiki.metro.tokyo.lg.jp/reiki/reiki_honbun/g101RG00001491.html
  • 公益財団法人東京都公園協会「都立霊園 使用の手引(一般・芝生・壁型埋蔵施設・長期収蔵施設)」https://www.tokyo-park.or.jp/reien/assets/tebiki_mitama.pdf
  • 同「施設変更制度」https://www.tokyo-park.or.jp/reien/download/pdf/shisetsuhenkouseido.pdf
  • 同「よくあるご質問」https://www.tokyo-park.or.jp/reien/faq/index.html
  • 同「募集について(よくあるご質問)」https://www.tokyo-park.or.jp/reien/faq/recruitment/index.html
  • 同「都立霊園 合葬埋蔵施設 使用の手引」https://www.tokyo-park.or.jp/assets/files/tebiki_gassou.pdf
  • 同「都立霊園 樹木型合葬埋蔵施設 使用の手引」https://www.tokyo-park.or.jp/reien/use/pdf/tebiki_jyumoku.pdf
  • 同 各霊園ページ(多磨・小平・八柱・青山・谷中・雑司ケ谷・染井・八王子)https://www.tokyo-park.or.jp/reien/
  • 東京都建設局「令和8年度 都立霊園使用者の募集」(2026年5月25日)https://www.metro.tokyo.lg.jp/information/press/2026/05/2026052511
  • 東京都建設局「令和8年度 都立霊園の公募受付状況と抽選会」(2026年8月6日)https://www.metro.tokyo.lg.jp/information/press/2026/08/2026080610
  • 府中市「改葬許可申請」https://www.city.fuchu.tokyo.jp/kurashi/tetuduki/sonota/kaisoukyoka.html
  • 東村山市「改葬許可(お墓のお引越し)申請について」https://www.city.higashimurayama.tokyo.jp/kurashi/koseki/shiminsougikaisou/kaisoukyoka.html
  • 八王子市「改葬(お墓を移す)に関する手続き」https://www.city.hachioji.tokyo.jp/life/007/kaisoukyoka/p012042.html
  • 松戸市「市民課」(埋火葬及び改葬許可の担当)https://www.city.matsudo.chiba.jp/shisei/organization/shiminbu/simin.html
  • 墓地、埋葬等に関する法律(e-Gov法令検索)https://laws.e-gov.go.jp/law/323AC0000000048
よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

コメント

コメントする

目次