この記事の結論
- 改葬先は「お参りの形」「費用」「遺骨を後から取り出せるか」の3点で比べると決めやすくなります。合祀(合葬)は安い反面、一度納めると取り出せません。
- 墓地・納骨堂へ移すときは改葬許可が要ります。散骨や自宅での保管は、改葬許可が不要と国の資料に整理されていますが、自治体ごとに扱いや必要な書類が違います。
- 首都圏には、都立霊園・横浜市・川崎市の公営の合葬墓など、1体10万円前後の受け皿があります。ただし募集は年1回で、抽選になることもあります。墓石を撤去する前に、行き先を決めておきましょう。
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改葬先の種類と特徴
墓じまいでよく選ばれる行き先は、次の6つです。
| 種類 | どんなものか | 遺骨の取り出し |
|---|---|---|
| 永代供養墓・合祀墓(合葬墓) | 墓地の管理者が供養・管理を続ける。ほかの人の遺骨と一緒に納める形が多い | 一緒に納めた後は、原則できない |
| 樹木葬 | 樹木や草花を墓標にする。個別の区画型と、合祀型がある | 合祀型は原則できない |
| 納骨堂 | 屋内の施設に骨壺を収める。ロッカー型・自動搬送型など | 期間中は可能なことが多い |
| 散骨 | 粉にした遺骨を海などにまく | できない |
| 手元供養 | 自宅で骨壺や小さな容器に入れて保管する | 可能 |
| 新しい一般墓 | 近くに新しく墓石を建てる | 可能 |
「永代供養」は、墓地の管理者が長く供養・管理してくれる仕組みのことで、お墓の形の名前ではありません。合祀墓・樹木葬・納骨堂にも「永代供養付き」のものがあります。契約前に、次の2点を確認しましょう。
- 何年後に合祀されるか
- 年間管理料がかかるか
種類ごとの向き・不向き
永代供養墓・合祀墓 – 向いている人:承継者がいない、管理の負担と費用をおさえたい – 注意点:合祀した後は、遺骨を取り出せません。親族が後から「自分の家のお墓に入れたい」と言っても応じられないため、事前に確認しておきます。 – 合祀の前に、骨壺のまま一定期間安置するタイプもあります。都立霊園の合葬埋蔵施設には、20年間個別に保管してから共同埋蔵する方式と、最初から共同埋蔵する方式があります。
樹木葬 – 向いている人:自然の中で眠りたい、墓石を持ちたくない – 注意点:同じ「樹木葬」でも、個別の区画で骨壺を埋めるもの、粉にした遺骨を土に還すもの、合祀型など、形はさまざまです。名前を刻めるか、何年後に合祀されるかを確かめましょう。
納骨堂 – 向いている人:駅に近い屋内で、天候を気にせずお参りしたい – 注意点:使用期間(30年など)と年間管理料を確認します。期間が終わった後に合祀されるのが一般的です。
散骨 – 向いている人:お墓という形にこだわらない、故人の希望がある – 注意点:お参りする「場所」が残りません。遺骨は粉にする必要があります。厚生労働省は、散骨事業者向けのガイドラインで、場所や周りの人への配慮を求めています。
手元供養 – 向いている人:故人をそばに感じたい、行き先をすぐに決められない – 注意点:保管している人が亡くなった後、遺骨をどうするかを決めておく必要があります。
費用の目安
民間の施設の相場は、解説記事によって幅がありますが、次の程度とされています(目安)。
| 改葬先 | 民間の目安(1体あたり等) | 首都圏の公営の例 |
|---|---|---|
| 合祀墓 | 5万〜10万円 | 都立合葬 5.3万〜13.1万円/横浜市 日野こもれび納骨堂(合葬式)約12.1万円/川崎市 緑ヶ丘霊園(合葬型)約10.1万円 |
| 樹木葬 | 20万〜80万円 | 都立樹林墓地 9.5万〜11.2万円(粉状 3.1万〜3.7万円)/横浜市 舞岡しぜん墓園 16.6万円〜 |
| 納骨堂 | 50万〜150万円 | 横浜市 日野こもれび(自動搬送式)48.4万円(30年)+管理料 |
| 海洋散骨 | 5万〜40万円 | ― |
| 一般墓 | 150万〜300万円以上 | 都立一般墓所 32万〜2,048万円(八柱〜青山) |
公営の金額は、令和8年度の募集資料にもとづく使用料(横浜市・川崎市は管理料込み)です。改葬先の費用とは別に、墓じまい全体では次の費用がかかります。
- 墓石の撤去費(1㎡あたり10万〜15万円程度が目安)
- 閉眼供養のお布施(3万〜10万円程度が目安。するかどうかは宗派や寺院、ご家族の考えによります)
改葬許可が要るもの・要らないもの
墓地・納骨堂へ移すなら改葬許可が必要
墓地や納骨堂にある遺骨を、ほかの墓地や納骨堂へ移すことを「改葬」といいます。墓地、埋葬等に関する法律5条にもとづき、遺骨がいまある市区町村の許可が必要です。合祀墓・樹木葬・納骨堂・一般墓は、どれも「墓地・納骨堂」にあたるので、改葬許可証が要ります。
散骨・自宅での保管は「改葬」にあたらないと整理されている
総務省東北管区行政評価局の資料では、①自宅に安置する場合、②散骨する場合は、市町村長の改葬許可は必要ないとされています。また、厚生労働省の見解をまとめた資料では、散骨は法律が想定していない葬法で、どう規制するかは各自治体が自主的に判断するとされています。
自治体の案内には違いがあります。
| 自治体 | 案内の内容 |
|---|---|
| 八王子市 | 散骨は改葬にあたらず、市には散骨の届出・許可の制度がない。墓地から自宅に引き取るだけでも改葬にあたらない。引き取るときは、墓地管理者から埋蔵証明書や遺骨引き渡し証明書をもらっておくと、後で納骨するときに役立つ |
| 横浜市 | 現行法令上、散骨に許可手続きは不要。厚労省の「散骨に関するガイドライン(散骨事業者向け)」に沿った配慮を求めている |
| 東村山市・府中市 | すでに遺骨を自宅に引き取っている場合、後で別の墓地へ移すときは、自宅がある市区町村で申請する。その際、墓地管理者が出す「遺骨引き渡し証明書」が要る |
実際には、墓地の管理者が遺骨を引き渡すときに、改葬許可証や所定の書類を求めることがあります。散骨業者が書類の提出を求める場合もあります。散骨や手元供養を考えているときは、次の3か所に、事前にどんな書類が要るかを確認しましょう。
- いまの墓地の管理者
- 墓地がある市区町村
- 散骨業者
一部だけ手元に残すなら「分骨」
「大半は合祀墓へ、一部は手元に」という場合は、分骨の手続きになります。分骨は改葬とは別の手続きで、墓地の管理者が分骨の証明を出します。
首都圏の公営の受け皿
公営の合葬墓や樹林墓地は、費用が安く、運営が安定しているのが魅力です。ただし、次の点に注意が必要です。
- 申込資格に、その自治体に住んでいることが含まれる
- 募集は年1回が基本
| 公営の受け皿 | 令和8年度の募集時期 | 主な申込資格・注意点 |
|---|---|---|
| 都立霊園(多磨・小平・八柱の合葬、多磨・雑司ケ谷の樹林墓地) | 6月12日〜7月3日(抽選8月14日) | 都内に3年以上住んでいること(八柱の合葬は松戸市民も可)、祭祀の主宰者であること。小平の合葬は19.4倍、多磨の合葬は8.6倍 |
| 横浜市(日野こもれび納骨堂、舞岡しぜん墓園など) | 9月1日〜9月30日 | 横浜市に住民登録して3か月以上。舞岡しぜん墓園は2027年4月開園予定 |
| 川崎市(緑ヶ丘霊園 合葬型) | 11月1日〜11月30日(郵送のみ) | 川崎市に1年以上住んでいること、祭祀の主宰者であること |
いまの墓地も公営墓地のときは、自治体ごとの規則に注意します。たとえば都立霊園を使っている人は、都立霊園の一般公募に原則として申し込めません。承継者がいない場合は、お墓を返して合葬式墓地へ移す「施設変更制度」を使います。
家族の同意をとるポイント
改葬先は、残る家族の「お参りの場所」でもあります。特に次の2つは、後から変えられません。
- 合祀
- 散骨
決める前に、家族で次の点を話し合っておきましょう。
- 今後、誰がどこでお参りするか
- 遺骨を取り出せなくなってもよいか
- 費用を誰が負担するか
- お墓に眠っている人の近親者の気持ち
意見が分かれるときは、次のような組み合わせで歩み寄れることがあります。
- 大半は合祀墓、一部を分骨して手元供養にする
- 個別に一定期間安置したあと、合祀される施設を選ぶ
選ぶ順番:失敗しない5ステップ
- 遺骨の数と状態を確かめる:何人分か、骨壺の大きさ、土葬の遺骨がないか。
- お参りの形を家族で決める:個別に手を合わせたいのか、管理の負担をなくしたいのか。
- 公営の募集時期を確認する:住んでいる自治体の募集時期と申込資格を先に調べ、間に合わなければ民間の施設も並べて比べる。
- 改葬先の契約と受入証明をもらう:改葬許可の申請には、改葬先の受入証明(使用許可証の写しなど)が要ります。
- 改葬許可を申請してから、遺骨を取り出し撤去する:行き先が決まる前に墓石を撤去すると、遺骨の置き場に困ります。
よくある質問
Q. 永代供養と合祀墓は同じものですか? A. 同じではありません。永代供養は「管理者が供養・管理を続ける」仕組みのことで、合祀墓はその代表的な形の一つです。個別の区画で一定期間安置してから合祀する施設もあります。
Q. 散骨するなら、改葬許可は要りませんか? A. 国の資料では、散骨は改葬許可が不要と整理されています。ただし、いまの墓地から遺骨を出すときに管理者が書類を求めることがあり、自治体の扱いもさまざまです。墓地の管理者と市区町村に確認してください。
Q. 公営の合葬墓に落選したらどうなりますか? A. 次の年度の募集を待つか、民間の施設を選ぶことになります。遺骨を取り出す前に当選・契約を確かめてから撤去の日程を組むと、遺骨の行き場がなくなる心配がありません。
Q. 遠くのお墓を、首都圏の施設に移せますか? A. 移せます。改葬許可はいまの墓地がある市区町村に申請します。郵送で受け付ける自治体も多いので、遠方でも手続きを進められます。
当事務所でできること
櫻井高貴行政書士事務所では、次のお手伝いをしています。
- 改葬先が決まった後の改葬許可申請(改葬許可 代行プラン 44,000円、1墓所・遺骨2柱まで)
- 改葬先候補の比較表づくりを含む「まるごと段取りプラン」(132,000円・4柱まで)。石材店3社の相見積もり、親族への説明文、日程表も含みます
霊園・石材店・散骨業者から紹介料は受け取らず、中立な立場で比べます。散骨そのものは専門業者が行います。料金は料金表、ご相談は無料相談フォームから(初回30分無料)。
出典
- 墓地、埋葬等に関する法律(e-Gov法令検索)https://laws.e-gov.go.jp/law/323AC0000000048
- 総務省東北管区行政評価局「墓じまいに関する情報収集結果」別添1 https://www.soumu.go.jp/main_content/001053242.pdf
- 総務省「墓地埋葬法の運用に関する疑義(厚生労働省見解)」資料 https://www.soumu.go.jp/main_content/000901287.pdf
- 厚生労働省「墓地、埋葬等に関する法律の概要等」(散骨に関するガイドライン掲載)https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000123872.html
- 厚生労働省「散骨に関するガイドライン(散骨事業者向け)」https://www.mhlw.go.jp/content/11130500/001321304.pdf
- 横浜市「散骨するにあたっての手続について」https://www.city.yokohama.lg.jp/kurashi/sumai-kurashi/saijo/sankotsu.html
- 八王子市「改葬(お墓を移す)に関する手続き」https://www.city.hachioji.tokyo.jp/life/007/kaisoukyoka/p012042.html
- 東村山市「改葬許可(お墓のお引越し)申請について」https://www.city.higashimurayama.tokyo.jp/kurashi/koseki/shiminsougikaisou/kaisoukyoka.html
- 府中市「改葬許可申請」https://www.city.fuchu.tokyo.jp/kurashi/tetuduki/sonota/kaisoukyoka.html
- 千葉市「改葬、分骨について」https://www.city.chiba.jp/hokenfukushi/iryoeisei/seikatsueisei/reburial.html
- 東京都建設局「令和8年度 都立霊園使用者の募集」https://www.metro.tokyo.lg.jp/information/press/2026/05/2026052511
- 東京都建設局「令和8年度 都立霊園の公募受付状況と抽選会」https://www.metro.tokyo.lg.jp/information/press/2026/08/2026080610
- 東京都公園協会「施設変更制度」https://www.tokyo-park.or.jp/reien/download/pdf/shisetsuhenkouseido.pdf
- 横浜市「令和8年度 市営墓地・納骨堂 使用者募集の概要」https://www.city.yokohama.lg.jp/kurashi/sumai-kurashi/saijo/shiyoushaboshu.files/0052_20260703.pdf
- 川崎市「令和8年度 市営霊園 使用者募集案内」https://www.city.kawasaki.jp/530/cmsfiles/contents/0000170/170165/R8boshu.pdf
- 幻冬舎ゴールドオンライン(墓じまい・改葬先の費用相場、業者の解説による目安)https://gentosha-go.com/articles/-/80070
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